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たまゆら~もあぐれっしぶ~ 第12話「そして…旅立ちの季節、なので」感想

約束の場所へ。
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母の背中と瀬戸内の海。
バイクの後ろに乗った楓の眼前に広がる景色は、亡き父がかつて見た景色。

目的地は珠恵が和馬にプロポーズされた場所。
これまで珠恵がこの展望台に楓を連れて来なかったのは、父を亡くした楓の心が完全に癒えるまで待っていたという理由のほかに、珠恵自身も同じく癒える為の時間が必要だったから。

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もしかすると珠恵は、1人ではこの場所に"来られなかった"のかもしれないです。
1人で来たら色々と思い出して、傷心を癒すどころではなくなってしまう。和馬との思い出を振り返ることで辛い気持ちを感じるのは、思い出が辛いものへと変わってしまいそうで、それはこわい。
なので、珠恵はこの場所に来られなかったのではないかなと思いました。

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珠恵がこれよりも前に1人で来ていたとしても、それはきっと楓を見守ることで珠恵の傷心が癒やされた後でしょう。楓が自分の力で前に向かって歩き出していなければ、珠恵もまた前へ進むことが出来ていなかった。

だから、一緒に来られたのは楓のおかげ。
"楓が珠恵をここへ連れてきてくれた"のだと思います。



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大久野島の広場で優しく微笑む珠恵は、うさぎと戯れる楓に和馬の姿を重ねていたように見えました。
珠恵の「たまにはいいじゃない、レンズを通さないで景色を見るのも」は、同じように和馬へかけた言葉なんだろうな、と。



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娘に「ありがとう」を。

この場所へ連れてきてくれて。
同じ景色を見てくれて、同じ景色を見せてくれて。

産まれてきてくれて、ありがとう。

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見守っていてくれて、ありがとう。

たくさんの "ありがとう" を―





周りが見渡せる約束の場所、展望台にいる珠恵と楓を、空の向こうにいる和馬は見つけられたかな。
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『たまゆら~もあぐれっしぶ~』を振り返ってみて
和馬の想いに触れる楓を軸に据え、新しい一歩、出会いから別れまでを描いたかなえ先輩との写真部や和馬の知人との話を描き、それらを通して沢渡父娘へ焦点(ピント)が合わさってくる構成でしたね。

話数を重ねるごとに和馬と楓、そして周囲の想いが重なっていき、描きたいものが浮かび上がってくる様子は写真に写る"たまゆら"のようでした。

過去に思いを馳せることで未来に進んでいく想いだってあるのだと、この作品を見ていて色々と思う所がありました。また、大切なことに気付かせてくれて感謝しています。なのでお別れは感謝の言葉で。
『たまゆら』という作品へ"ありがとう"、を。

 
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